植民地を活かすとは
歴史を学ぶ上で欠かせないのが「大航海時代」
ヨーロッパ各国がアジアに進出したことで同時に生まれたのが「搾取の歴史」
日本は免れましたが、多くのアジア国が植民地となりました。
植民地の目的は多くありますが、
①「増加する本国の人口のはけ口」
②「原料の供給地」
③「過剰に生産される製品を売りさばくための市場」
の3つがよく言われるものです。
イギリスの北米植民地は、①と②の意味合いを持っていました。
スペインのメキシコ植民地は銀山開発ということで②、
オランダのインドネシア植民地のゴム栽培は②の意味合いでした。
植民地はイギリスに端を発する重商主義の考え方が大きな支えとなっています。
重商主義とは、国家が社会や経済に介入することを推奨したもので(ただし、公衆衛生や国防への支出は必要)、貿易収支を黒字にすることを最優先する経済政策思想です。
貿易収支に重きを置くヨーロッパにとって、アジア進出による植民地獲得は重要な事柄でした。
しかしながら、植民地が必ずしも支配(=悪)だったという考え方は正しくありません。
植民地をつくる目的は上の3つの通りですが、それがもたらすものは別の話です。
結論から言うと、植民地とは「投資」なのです。
本国からお金を出し、インフラを整え、それまで使われていなかった人的資源を教育によって労働力に変えたり、荒廃地だった土地に設備をつくって生産基地に変えたりしたことは事実です。
「資本と技術の移転」という点で言えば、
イギリスによる北米・豪州への多額の投資は、その後の近代国家への礎となりました。
また、日本の朝鮮・台湾・満州への投資は、搾取よりも本国からの持ち出しの方が多かったようです。
人的資源や施設だけでなく、法や治安を整え、保つことによって人口を増やすことにも成功しました。
これは、植民地の目的が搾取のためで、悪しき歴史だと決めつけることに異を唱える十分な根拠です。
見方をこのようにすれば、現在のビジネスモデルにおける「海外投資」と変わりはありません。
もちろん、イメージのようにオランダ・スペイン・ポルトガルなどのように植民地に大した投資をせずに、搾取ばかりしてきた国もあります。
しかし、それらの国々は結果的に植民地経営に失敗し、国際社会の表舞台から消えていきました。
イギリスやフランスが今も”表”で活躍しているのは、大航海時代の植民地経営の礎があるからと言っても過言ではありません。
植民地というと搾取の象徴のようにレッテルを貼られることがありますが、投資によってその国の価値を高め、近代国家への礎を創ったことは見逃してはいけない事実です。
↑今回参考にさせていただいた本はこちらです。