クラフトビールと地ビールの違いって?
最近よく耳にするクラフトビール。
小規模な醸造所(ブルワリー)が作るビール。地ビールとどう違うのか、解説します。
まず結論から言って、
①定義が違う。
②作られているビールが違う。
の2点です。
そもそも地ビールとは...
1994年4月に行われた酒税法の改正によって、ビール醸造の免許を取得するために必要な最低製造量が60キロリットルまで引き下がったことで、日本各地に小規模のビールメーカーが誕生したことに端を発します。
それまで免許の関係で作れなかった人たちが、地元の名を使ってビールを売り出した。これが地ビールと言われるものです。
それから2000年前半まで地ビールブームが続きます。
一度はエチゴビール、はこだてビールさん、鎌倉ビールさんの名前を聞いたことがあるのではないしょうか。
しかし、突如としてブームは終わります。
原因として、ブームに乗っかってあまりに多くのブルワリーが出来すぎたからです。
その中にはオフフレイバー(ビールにあるべきでないにおい)を含むビールが数多く売り出されてしまい、消費者の目には『地ビール=高い、まずい』のイメージがついてしまいました。
こうして爆発的に増えた小規模なブルワリーは年々減り続け、苦しく長い冬の時代を迎えることとなりました。
現在に至るまでのクラフトビールは、まさしく地ビールという概念から脱却するための試みだったのです。
2004年に創業した志賀高原ビールの佐藤さんが、「僕たちが作っているビールは、地ビールじゃない。クラフトビールなんだ。」と発言し、
2006年にコエドブルワリーの朝霧社長が「地ビールやめました。クラフトビール始めます。」宣言とともに、ビールのラインアップを一新したことで注目を集めました。
実はクラフトビールに定義はありません。むしろ定義がない自由さがクラフトビールの長所だと思うのですが、あえて説明するならば
『職人さんが創り出す品質が高い個性豊かなビール』
ではないでしょうか。
(クラフトビールと国産ワインのBeerich YEASTさんのサイトから引用させていただきました。)
これが前述の①定義の違いです。
②作られているビールの違いですが
地ビールでもやはりピルスナー(下面発酵=ラガータイプ)が多かったのに対し、クラフトビールではエールビール(上面発酵)の普及が目立ちます。
クラフトビールの代表例で思い浮かぶのは、
よなよなエール(ヤッホーブルーイング)、スタウト(箕面ビール)、IPA(志賀高原ビール)さんなどのエールビールではないでしょうか。
ピルスナーでももちろん、
Pilsner(ノースアイランドビール)、ベイピルスナー(ベイブルーイング)は有名ですが、やはりエールビールのバリエーションの多いです。
作り手やクラフトビールファンからすると、「クラフトビールと地ビールって結局同じでしょ?」という言葉にはかなり敏感に反応すると思うのでお気をつけください。
地ビールとの違いが分かったうえで、是非個性豊かなクラフトビールを堪能してください!