ぐらんぐるめぞんじゃぱん

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金本位制が戦争を起こした?

金本位制は1816年にイギリスで整えられ(日本では1897年に明治政府が金本位制を採用)、その内容というのは保有している金の量によって発行する紙幣が限られるとのことです。

逆に言えば、紙幣を発行したくてもそれに相当する金を保有していなければ、発行できません。

 

金本位制とは簡単に言うとデフレ政策です。

 

貨幣量が増えて、物価が上がることはインフレ。

金本位制保有している金によって発行する紙幣が限られ、すると物価にも制限がかかってしまうのでデフレ政策というわけです。

 

金本位制のデメリット

金本位制システムの最大の欠陥は、金は金山が発掘されない限りその量が増えないということです。逆に、人間の作る製造品などの財・サービスは金山の発見に関わらず高スピードで発展していきます。

この状態が続けば、人間の作る財・サービスよりも、金の価値が高くなってしまいます。金山に埋まっているただの金と人間が汗水流して働く商品のどちらが高い価値を持つべきでしょうか。

 

恐慌が起きると金本位制では立ち行かなくなります。

なぜなら、恐慌下では物価の下落が起き、本来デフレ下では貨幣の供給量を増やして改善をはかるべきなのに金本位制ではそれが出来ないからです。

戦争でも同様です。戦争には莫大な資金が必要ですが、資金を手に入れるためには金本位制の発行紙幣の制限ではどうにも出来ません。

 

金本位制の歴史 

ここで金本位制採用と離脱の歴史を見てみます。

イギリス

1816年

金本位制採用

 

1914

世界大戦により金本位制離脱

 

1925年

金本位制復帰

 

1931

恐慌により金本位制再離脱


日本

1897年

日清戦争の賠償金を元手に金本位制採用

 

1914

世界大戦により金本位制離脱

 

1930年

金本位制復帰

 

1931

恐慌により金本位制再離脱

 こうして見てみると日本とイギリスの金本位制の歴史が酷似していることが分かります。

 

1900年に確立された国際的な金本位制度ですが、1935年までにほとんどの国が金本位制を離脱しています。しかも、恐慌時には早く離脱した国ほど早く経済が回復しています。

これは元FRB議長のバーナンキや「伝説の教授に学べ!本当の経済学が分かる本」(浜田宏一ら著)からも指摘されています。

 

金本位制の正体

ここまで見てきたように金本位制はデフレを誘発し不況を誘います。そして恐慌になると各国はこぞって金本位制を離脱します。

ここまで各国が金本位制にこだわってしまうのは、「富の源泉が存在する」という信条と世界の覇権を一時的に手に入れたイギリスを知っていたからでしょう。

続いたWWⅠとWWⅡはまさに経済状況の悪化から発生した戦争だと言え、それはいわば金本位制が導き出したものだと言えます。

上念司氏の言葉を借りて、「経済状況が健全でない時には、ヒトは過激な思想に惹かれてしまう」ことが戦争に導いた大きな要因ではないでしょうか。